作品
文学的なパリに捧げるオマージュ。最初の目的地となるパリは、diptyqueの歴史的な拠点です。2点の作品で構成されるインスタレーション『Time after Time』は、感情と美の彷徨というテーマを紙の芸術を通して表現する、マダガスカルのアーティスト、Joël Andrianomearisoa(ジョエル・アンドリアノメアリソア)の作品です。
彼は世界を巡る詩人であり、新たな時代の復興を祝って『Un temps après la jeunesse(揺籃期後の時代)』を制作。「現在、投影、メランコリーが融合する物語」が34枚の紙の上に繰り広げられます。34という数字は、メゾンの歴史を語るサン=ジェルマン大通り34番地と同じ。こんなに多くの物語があるのも、「パリは小説」だからなのです。骨董店のワックスで磨いた木の香り、パリの舗道の香り、古書のページの香りが添えられた小説です。
本エディションと対話するのは、インスタレーション『The Labyrinth of Passions』。生命の儚さと強さのメタファーとなる、優雅に蛇行する紙の作品は、モノクロームの景色、完璧なオペラ、軽やかな構造を作り出し、つねに動いています。 連続する薄葉紙の繊細なフォルムは、少しの揺れや風に、鑑賞者の吐息や身体の動きに敏感に反応し、囁くような儚い音楽によって命を宿します。
Joel Andrianomearisoa(ジョエル・アンドリアノメアリソア)のインタビュー
1977年、アンタナナリボ(マダガスカル)生まれ。 パリ、マニャ=レトランジュ、アンタナナリボを拠点に活動。
マダガスカルのアーティスト、Joël Andrianomearisoa(ジョエル・アンドリアノメアリソア)は、詩、ファッションのエネルギー、パフォーマンス、インスタレーション、舞台美術を多声な世界の中にひとつにまとめます。それは個々人の敏感な感受性を包み込み、感じ取れても形容しがたい抽象的な語りを中心に発展する世界。
このためにアーティストは、序列なしに、音や本、テキスタイルやプラスティック、黒と同時にカラーを使用しています。テキスタイル、服、様々な紙の熱心なコレクターでもあり、これらを裂き、切り取り、編み、コラージュを作り、連続して薄葉紙を重ね合わせるように、記念碑的建造物を出現させます。作品を通して語られるのは、政治、愛、暴力、性、経済、世界、疎外が生み出す悲劇。
Joël Andrianomearisoa(ジョエル・アンドリアノメアリソア)は心の奥底と弱さを強調し、魅力的かつ神秘的な環境の中に思考、感情、社会の現実を明示しながら、人間の情熱の迷宮のメタファーを描きだします。